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代襲相続分と指定相続分について

1.はじめに

 本来、相続人になるべき者が死亡等によって、相続時にいなかった場合、「代襲相続」ということが起こります。例えば、相続人になるはずであった者が死去していた場合、その者に子供がいれば、その子供が相続人になります。
 相続人がいなくなる原因として一般的なものは死去ですが、そのほかにも、相続人の「欠格」「廃除」があります。この場合も、代襲相続が起きます。「欠格」と「廃除」については、2020年12月28日グログをご参照ください。
 ところで、法定相続分によらずに、被相続人が遺言で相続分を指定することもできます。これを指定相続分と言います。

2.代襲相続人の相続分

代襲相続人の相続分は被代襲者と同じとなります。代襲相続人が1人であれば、被代襲者と同じ相続分になり、複数いる場合は、被代襲者の相続分を均等に分けることになります。なお、代襲相続人は相続税の2割加算の対象者ではなくなります。

3.指定相続分

 被相続人は遺言で相続分の指定をすることができます。これを指定相続分と言いますが、これは法定相続分に優先します。

4.遺留分の侵害

 被相続人は自由に相続分を指定することはできますが、それが遺留分を侵害する場合、侵害された相続人は、指定を受けた相続人に対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができます。
 遺留分については、別途、改めてご説明いたします。

5.指定相続分と相続債務

 被相続人が相続分を指定した場合、その指定が相続債務にまで及ぶのかどうかという問題があります。この点に関しては、平成30年の民法改正において明確になりました。
 それによると、遺言による相続分の指定がされた場合であっても、債権者は各共同相続人に対して、法定相続分に応じて権利行使することができるとされています。また、債権者が共同相続人の一人に対して指定された相続分に応じた債務の承継を認めた場合は、そのように指定された相続分に応じた権利行使をすることもできます。

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